海外バスケ
少しのきっかけと勢い(ノルウェーリーグ 稲垣 敦選手)中編
ノルウェーリーグで2010-2011シーズンをプレイした稲垣 敦選手インタビュー第2弾。チームとの契約の中にはジュニアチームのコーチも記載されていたが、日本と世界の子供たちのバスケのレベルはどうなのか?そして、日本の女子選手だったら絶対にヨーロッパでスター選手になれる!......そのわけとは!?
- スクールのコーチを務めることも契約に入ってましたがどうでしたか?
- 稲垣選手:ノルウェーリーグは10〜15年ほど前に一時期潰れたらしいです。一回バスケが無くなって、また再建しているところで、まだシステムが確立されておらず、若い子の育つ環境が無かったので、最近になりジュニアスクールができたようです。ウチのチームは弱かったです。他のチームにはそこそこ巧い選手もいましたが、ジュニアであれば日本人の方が全然うまいです。
スクールは生まれた年で分けられており、高校生でも巧い選手はすでにトップリーグでもプレイしていました。僕が見ていたのは96年生まれなので中2〜3くらいですね。全部で12人程度でした。トップ選手が教えに来る環境は、子供たちにとっても良いモチベーションになっています。
- 今、青木康平選手(東京)のWatch&Cアカデミーでもコーチをしていますが、日本の子供たちのレベルをどう感じてますか?
- 稲垣選手:もし小学生の世界大会があれば、日本はトップ3に入れると思います。アメリカの男の子であればバスケ(冬)、アメフト(秋)、野球(春夏)と、1年の間にシーズンを変えていろんなスポーツをします。日本みたいに年間通してずっと同じスポーツばかりやり続ける環境はありません。たぶん中学生でもアメリカの1位と日本の1位が対戦すれば日本は勝てると思いますよ。
- 稲垣選手:高校2〜3年の時期でしょうね。体つきがムキっとしてきたら手に負えないです。しかし高校でも、まだ良い試合はできると思いますし、勝てる可能性もあります。大学になると日本代表でも勝てないですね。大学は中身が全く違います。練習の内容はもちろんですが、コーチの熱が違います。その熱さはこっちが引くくらいです(笑)。コーチだけで5人くらいおり、細かく役割分担があり、さらにトレーナーがいますので、選手は気を抜ける隙がありません。またアメリカには燃え尽き症候群というのが無いです。シーズン制や練習時間の制限など、意図的にプレイさせない時期を作っているのが良いのだと思います。
- 日本の部活の場合は、終わる時間が分からないまま延々とやらされますからね。笑
- 稲垣選手:意味もなくずっと走らせ続けられたりね。高校時代に先生に名言を吐かれました。「お前みたいに小さくて、シュートも入らない、足の遅いヤツが何でバスケしてんだ」ってブチ切れながら言われ、ごめんなさいとしか言えませんでしたよ。その頃、シュートを打つとバックスピンではなく、なぜかナックル回転がかかってしまい入るわけもなく、50mも7秒切ったことないですし、この身長でしょ。返す言葉が見つからず謝るしかできませんでした。
- 稲垣選手:そこからアメリカに行けば巧くなるだろうって感じで、その勢いのままですね(笑)。
- 稲垣選手:スピードもありますし、クイックネスもありますし、技術的にも低くはないです。日本で見ていても巧い選手はいっぱいいます。ただトップレベルではないです。
- 海外=NBAという認識がどうしても強いですが、ヨーロッパでも日本人がやっていけるリーグは結構ありますか?
- 稲垣選手:スペイン、ギリシャ、イタリアのトップリーグなどヨーロッパの強豪国は全てNBAレベルです。ノルウェーはトップの2チームはすごかったですが、それ以外はbjのチームの方がレベルが高いと思います。ドイツはヨーロッパでも中堅レベルです。
そのドイツのトップリーグを観戦したのですが、日本代表でも勝てないと思いました。テレビで見るのと実際に見るのではまた違って、目の前で見たスキルはすごいです。日本人も巧いんですけど、向こうはすごいんです。ショックを受けましたね。
観客も1万人くらい入ってましたし、全席に選手のプロフィールが書かれたパンフレットが置かれており、折るとハリセンになります。それを叩いて1万人が熱狂するわけですから、スゴイ盛り上がりでした。おじいちゃんから子供まで観客も幅広く、アリーナの外にはバスケゲームが置いてあり、そこで楽しんでから、実際のゲームを楽しむような環境でした。
ドイツトップリーグはすごいですが、日本人でも2部や3部リーグに入れる可能性はあります。そこから実力を付けてトップに上がるという道が良いと思います。
- ドイツというと一番人気はサッカーであることは間違いないと思いますし、しかもシーズンは被ってます。それでもバスケ会場に足を運ぶ人がいるというのは?
- 稲垣選手:スポーツ文化がしっかりしてるのだと思います。あとはやっぱり強いというのもあると思います。優勝はできませんが、オリンピックなど世界大会に出場する世界でもトップレベルなので、見ていて楽しいのだと思います。
- 稲垣選手:スペインやギリシャの試合はたくさん見ました。NBAでもなく、日本でもなく、うまく言葉では言い表せませんが、また違ったバスケットが展開されていておもしろかったです。女子の試合もやってたのでよく見てましたが、絶対に日本の女子選手ならば余裕でヨーロッパのトップリーグに行けますよ。
- 稲垣選手:日本の女子はメチャクチャレベルは高いと思いました。ヨーロッパの選手はもちろん身長はデカイですが、日本人の方が機動力がスゴイ。さらに素早いですし、ドリブルも巧くてシュートも決めますが、ヨーロッパにそんなタイプの選手はいないです。日本の女子選手がヨーロッパに行ったらかなり活躍すると思いますよ!
例えば大神選手はスーパースターになれるんじゃないですかね。以前リバウンド王(2009FIBAアジア選手権)を獲った吉田亜沙美選手みたいな選手はヨーロッパにいないですよ。海外の経験を積んだら、日本代表はもっと強くなると思います。
もっと海外慣れをすれば良いんですよ。例えば、JBLのトップ選手がポツンと一人で海外のチームでプレイしても実力を発揮できないと思います。言葉の壁や雰囲気もありますが、定期的に海外でプレイすることで海外慣れしたら、日本代表として国際試合をする時も絶対にラクになります。
- 稲垣選手から見て、海外に行けば良いと思う選手はいますか?
- 稲垣選手:ほとんどの選手がそうですよ。竹内兄弟なんてあのサイズがあり、日本であれだけ活躍しているわけですから、もっと違うスキルを求めて海外に出て良いと思います。海外では2mあってもドリブルができなくてはダメだし、SFくらいになります。そのスキルは絶対に日本では得られないので海外に出る。失敗しても得るものは絶対に大きいし、もし通用せずに戻って来ても日本では必要とされるわけですから、思いきって行って欲しいですよね。
川村(卓也)も絶対に行って欲しい選手です。フィジカルに関しては、外国人相手に毎日マッチアップしていれば自然と強くなります。行くならば今のうちです。年を取るにつれてチャンスが少なくなって来るのも現実です。パナソニックの渡邊(裕規)とは昨年一度、一緒に練習したのですが、良いものを持っていますね。あとは"こうすけ"......金丸晃佑。
次回(4/30予定)に続く。
最終回の次回は「バスケ選手であれば絶対にNBAと日本代表は目指す」海外に出ていて日本代表をどう感じているのか、そして今後のこと、日本人選手が海外へ行くためのアドバイスなどについて。