アメリカバスケ
アメリカンドリームは夢か幻か...(後編)
岡田卓也選手インタビュー最終回。川村選手(リンク栃木)以外にNBAに近い日本人選手はいるのか?そして、今後の岡田選手は何を目指しているのか?
マッチアップするのはコービーやレブロン
- 川村選手のアメリカ挑戦を見て、すぐにでもNBAに行けるという感じだったのでしょうか?
- 岡田選手:うーーん、それはわかりません。難しいことですが、実際にコートに出てプレイすることは、あのレベルであれば誰にでもチャンスはあります。でもその前にアメリカのバスケや文化を学ばなければいけません。もちろんズバ抜けた技術があればそんなものは関係ないですけどね。
昨年、日本代表がDリーグのチームとサマーリーグで戦い、ボコボコにされました。それが今の日本の実力なんです。Dリーグの下はABAですから......。だから、日本の選手はあの負けをもっと真摯に受け止めて、追いつこうと思わないといけないと思います。もしかすると、日々外国人とマッチアップしているbj選手の方が通用するかもしれません。日本にいる間、一緒にワークアウトしてきた中で進化している(青木)康平(bj東京)がトレーニングキャンプに参加しているところも見てみたいです。GR JAPANの岩佐(潤/bj京都)、菅原(洋介/bj沖縄)らも違う国への選択しもあると思います。
川村の場合はJBL得点王であり、シュートセンスがあり、シュートの精度は世界に通用する。でももっと、さらにさらにさらに......磨きをかけないといけない。
なぜか?
彼がマッチアップするNBA選手は、コービーであり、レブロンなんです。彼らと比較されたら太刀打ちできない。シューターとして勝負するのであれば、フィジカル面などいろんな経験を学ぶ必要があるので、もっと世界のレベルの高い選手たちの中で揉まれたら、もっとうまくなる。
- なるほど、マッチアップが想定される具体的な選手名を挙げられるとすごいところに挑戦しているな、と改めて感じます。
- 岡田選手:密かにおもしろいのは、現在ポートランド大で活躍する伊藤大司選手と川村は同い年(1986年生まれ)なんですよ。中学は全国で準優勝し、高校からアメリカに渡ってNCAAで活躍する伊藤選手。片や高卒でJBLに飛び込び、日本代表を経験して、さらにプロとなった川村。この二人の比較はおもしろい。彼らのケミストリーで日本代表が変わるかもしれない。
伊藤選手にしても、川村にしても、来シーズンは日本でのプレイを選択するかもしれません。その時に、彼らをプロデュースし、コントロールできる指導者が必要だと思います。話がズレちゃいましたね。
高卒挑戦組は勝ち組か?
- 川村選手、そしてレブロンやコービーもそうですが、高校からトップレベルに行くことで開花しやすいのでしょうか?
- 岡田選手:それはあると思います。今年のNBAルーキーで新人王の呼び声高いブランドン・ジェニングス(ミルウォーキー)が最近では良い例です。彼は高校時代オールアメリカンでNo.1。でも、NBAが高卒選手を獲らなくなったので、1年間イタリアプロリーグでプレイして晴れてNBAに入りましたが、彼は成功します。でも、線は細いです。昨夏のGR JAPANメンバーがピックアップしている反対コートでジェニングスがエルトン・ブランドらとピックアップしていましたが、「この体で大丈夫なの?」って思いました。でも、現在活躍中ですからね!
川村も彼らと同じトレーニングを積ませたわけですから、やれないことは無いんです。環境が人を育てると思っています。そして、川村には「継続は力なり」ではいけない、さらに進化しないといけないとアドバイスしています。プロとして継続することは当たり前、ずっと同じことをやっていてもレベルは止まってしまいます。環境を変えたり、いろんな進化を続けないとさらなる飛躍はできません。その進化が僕のように遅い人もいれば、早い人もいます。彼にとっては大事な時期に来ています。環境が人を育てるのであれば、そのチャンスを僕は与えていきたいです。

(右)岩佐 潤(bj京都)
- 川村選手以外、現時点で岡田選手から見て、NBAに行けるような日本人選手はいますか?
- 岡田選手:いません(キッパリ)。いる可能性もあるかもしれませんが、僕が見た中では川村が一番NBAに近い存在です。でも誰にでも可能性はあると思いますので、がんばって欲しいですし、いろんな選手を見たいですが......。
日本のチームを捨てる勇気がありますかね?そのくらいの覚悟がないとアメリカのマイナーでさえプレイできないと思います。僕はそのプレッシャーを楽しんでいるんですけどね。笑
現役へのこだわり
- 今後の岡田選手はどのような目標を持っているのでしょうか?
- 岡田選手:現役を続けたいです。皆さんから見たらアメリカのマイナーリーグなんて大したこと無いと思われるかもしれませんが、僕にとってはとてもそのハードルは高いです。プレイしたくてもできない日本人選手もいますし、その環境の中にいる人しか分からない部分もあります。マイナーでも厳しさはすごくあります。
自分との戦いや憧れていたアメリカ国歌が流れる中でバスケットができる喜びを忘れないように、できる限り現役を続けて行きたいです。
- 岡田選手:無いと思います。理由は、アメリカに行ったことでいろんなことが生まれています。川村をBDAに紹介できたこともそうですし、GR JAPANの挑戦もそうです。(花田)有衣が中国WCBAに入ったのも含め、いろんな情報が入って来ますし、可能性を広げていきたいです。そして、今年も......。
うぬぼれかもしれませんが、現役でいられるのは他の誰かや何かが僕を辞めさせてくれないんです。ムリに辞めようとしてもプレイできてしまうのは、まだまだ現役を続けて良いということだと思っています。実は、他の海外のリーグから話をいただいていますが、僕はアメリカで現役を続けます。アメリカでいろんなことを学んで、GYMRATSを通じて子供たちにきっかけを与えることも少しはできてきています。日本のうまい選手が学ぶべきことはもっとあるわけで...。僕がここまで来れたのだから、もっとうまい選手や身体能力高い選手はもっともっとうまくなるのは当たり前。本気でヤル気のある選手には、僕で良ければ惜しみなく協力しますし、手合わせしたいですね。そのためにアメリカでも、日本でも人を育てる環境を提供して行きたいです。
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(右)バロン・デイビス
アメリカはドリームが詰まった国であることは確かである。夢を単なる夢とするか、はたまた幻想を抱き続けるのか...。岡田卓也の話を聞き、アメリカに挑むこと、そしてプレイすることは夢ではなく、すべて現実の積み重ねであると言うことを突きつけられた。
昨今、アメリカを視野に入れている日本人選手がオプション契約を結ぶケースがある。海外のリーグやチームからオファーがあった場合に契約解除できるといった内容である。オフシーズンの間だけチームを離れて挑戦し、ダメならば元の鞘に戻るのはあまりにも身勝手であり、開幕を控えるチーム作りも遅れる可能性がある。もちろん、選手としての魅力・実力ともに十分だからチームとしては離したくない。それでも、海外に出る時は所属チームとの契約をまっさらにしてから挑戦すべきである。チーム側が「挑戦してどこのチームとも契約できなかった場合、速やかに帰国しチームに戻るべし」といった上からの立場で契約をする必要がある。「日本のチームを捨てる勇気がありますかね?」と挑戦に対する本気度に疑問を感じていた。唯一の日本人NBAプレイヤーとなった田臥勇太選手(リンク栃木)も、日本での地位と名声を捨ててアメリカに渡ったからこそ勝ち得たということも言える。
良いところだけをブログ等で発信しているが、岡田卓也のアメリカでの生活は凄まじいものがある。それでも続けているのは、自分のプライドのためであり、次に続く選手たちのためでもある。
日本バスケ界は甘い。「環境が人を育てる」と言っていたが、恵まれた環境を整えるだけではなく、あえて劣悪な環境、ハードワークを与えるのも日本バスケ界にとっては良いカンフル剤になるのかもしれない。
ABAシーズンを終えて帰国したら、また岡田卓也に話を聞いてみたい。GYMRATSの今後、そしてオフシーズン中の悪巧み(?笑)についてを...。