アメリカバスケ
アメリカンドリームは夢か幻か...(前編)
アメリカのプロバスケと言えば、「NBA」という答えが返ってくる。しかし、NBA以外にも数多くのマイナープロバスケリーグがアメリカには点在している。東西南北の各エリアや州単位でのリーグが多い中、ABA(アメリカン・バスケットボール・アソシエーション)はアメリカ全土に渡って展開され、現在55チームが参戦。ABAは、マイケル・ジョーダンやコービー・ブライアントが出てくる以前にあったプロバスケリーグ。Dr.Jことジュリアス・アービングが豪快なダンクをかまし、NBAと実力を伯仲し、人気を二分していたのは有名な話。その後、経営悪化によりNBAに吸収された。サンアントニオ・スパーズやデンバー・ナゲッツなどは元々ABAチームだった。
そのABAが再び復活を遂げた2000年(その前後も再開と消滅を繰り返す)。長谷川誠選手(現bj新潟)をはじめ、田臥勇太選手(現リンク栃木)や宮田諭選手(現トヨタアルバルク)ら日本人がアメリカのコートに立った。
日本では初のプロバスケットボールリーグとなるbjリーグが産声をあげた2005年。当時のさいたまブロンコスに所属していた一人のプレイヤーが日本初のプロリーグではなく、アメリカマイナーリーグABAを選択。それが岡田卓也である。
妻子あるにも関わらず無謀な挑戦をはじめてから、今年で早5シーズン目を迎えた。ABAのチームを渡り歩いて現在はサンフランシスコ・ランブルでプレイ。自らプレイするだけではなくGYMRATSの活動をはじめ、アメリカとのパイプ役としても一役買っている。しかし、この岡田卓也とはどんな選手なのか?どうしてアメリカでプレイできるのか?不思議に思う人も多いと思う。
昨年末、クリスマスシーズンに一時帰国していた岡田卓也に会い、ABAでの現状やアメリカ挑戦を間近で見ていた川村卓也選手(リンク栃木)のことについて伺い、リアルに語ってもらった。アメリカンドリームは夢でも幻でもない。岡田卓也のアメリカ挑戦も含め、すべてが現実なのである。
プロフィール
岡田卓也(おかだ たくや)
1977.3.8生 静岡県出身
日大三島高〜日本体育大
日本リーグ(さいたまブロンコス)〜ABA(イングルウッド→フレズノ→サクラメント→サンフランシスコ)〜TPBL(レイクジャクソン)〜ABA(サクラメント→サンフランシスコ)
→GYMRATSオフィシャルサイト
→GYMRATSブログ
→岡田卓也ブログ
(右)ペニー・ハーダウェイ
多くのNBA選手の懐に飛び込む
- 岡田選手:小さい頃からアメリカに憧れていて、プロ選手になりたかったんです。
大学時代、日体大バスケ部と駒沢ロッカーズ(ストリートボールチームの先駆け的存在)の両方でプレイしていたのですが、駒沢ロッカーズの影響が大きかったですね。アメリカナイズドされた感覚やアメリカ経験のある仲間たちの影響で、アメリカでやってみたいという気持ちがさらに強くなり、大学3年の夏休みに渡米しました。
ペニー・ハーダウェイとジェイソン・キッドのキャンプに参加し、NBA選手から教わること、そして一緒にプレイするという体験ができました。実際に彼らと1on1をやってみて、もうレベルが違いましたね。分かってはいたけど、改めてスゴイと肌で感じました。
そこで敷居の低い...といっても高いのですが、マイナーから始めようと思い、その道を探るため大学卒業後、
アメリカに挑戦し始めたわけです。その時は運良くマジック・ジョンソンオールスターズの練習に参加させてもらったり、日系人のリーグやNBA選手が集うサマーリーグに出場して、アメリカのバスケを勉強できる機会をもらいました。
しかし、いろいろあって強制帰国。別に悪いことしたわけじゃないですよ。家族が増えたりとプライベートでいろいろありまして...。(笑)
帰国後、陸川さん(東海大監督)や色々な方々にご協力をいただきながら、ブロンコスのオーナーである成田さんをご紹介していただき、当時の三木監督(現東京クラブチームRBC監督)にも了承をいただき、ブロンコスが受け入れてくれました。3年間、ブロンコスでお世話になり、3年連続シーズン1位、最後の年のファイナルは敗れてしまいましたが、2年間日本リーグ優勝、そして3年間スターターを務めました。ウルトラマンの時期もありましたが...。(笑)
bj開幕を迎える年、ブロンコスに残るかどうか迷いましたが、GYMARTSの今後のことを考え、バスケを教える仕事をしようと思い、再び渡米することを決めました。あくまでプレイヤーとしてではなく、コーチングを学びにアメリカへ渡りました。その時に久しぶりにサマーリーグに出ていたら、ABAチーム「イングルウッド」のオーナーが僕のプレイを見て、ABAサマーリーグに参加するよう薦められ、そこでOKをもらい「ベテランキャンプに来い」と誘われ、見事合格しABAでプレイするができました。
レベルは高く、ハングリーな選手が多い
- ABAで5シーズン目を迎え、リーグの成長をどう見てますか?
- 岡田選手:ABAは昔からの歴史があります。ここ5年を見ると名乗りを上げるチームはたくさんあるのですが、途中で潰しちゃったりすることも多いです。実際、イングルウッドも無くなりましたし、リーグ中も相手チームの都合などでキャンセルゲームになることもしばしば。
それでも、bjリーグで活躍するABA出身の選手が多いことでも分かるように、日本人の僕にとってレベルは高いです。レベルが低いと言う人もいるかもしれませんが、昨今の不景気により海外に出られず、うまい選手たちがABAに残っているので、バスケ自体のレベルは高いし、何よりもハングリーな選手が多いです。
昨シーズンまでは必ずどこかのチームが潰れてましたが、今年のカリフォルニア地区に所属するチームは、現在までどこも潰れずに運営ができています。他の地区は分かりませんが、カリフォルニア地区はうまく運営もできるようになってきているようです。

有名ストリートボーラーも多数参戦
- 岡田選手:HIP-HOPアーティストのTHE GAMEがLA SLAMでプレイしています。あと元NBA選手のJ.R.ライダー(アイザイア・ライダー:NBAミネソタなど。1994年NBAオールスターにてスラムダンク王)がNORTH TEXAS FRESHにいますね。ストリートで有名なボーンコレクターやバッドサンタ、スピンマスターなど多くのストリートボーラーがプレイしています。チームメイトにはボールホリックがいます。
- 岡田選手以外、どのような国の外国籍選手がABAにいますか?
- 岡田選手:bj東京のジュリアス・アシュビー選手と同じトリニダード・ドバゴ共和国出身の選手が僕のチームにいます。あとはブラジル人とか、メキシコ人もいますし、ヨーロッパ人も何人かいますが、多くはアメリカ人ですね。日本のように外国人枠を設けた制限はありません。中国はすごいです。Beijing Aoshen Olympianという中国代表の若手育成チームをABAに参加させていました。今はWCBL(ウエストコーストプロバスケットボールリーグ)に出てます。
- 数多あるアメリカのマイナーリーグ。レベル的にはNBA傘下のDリーグが一番だと思いますが、その次にあたるのはどのリーグになるのでしょうか?
- 岡田選手:これまではCBA(コンチネンタルバスケットボールアソシエーション)でしたが、今年からCBAとABA提携したので、ABAもレベルが高い部類に入るのかな。ABAから独立したPBL(プレミアムバスケットボールリーグ)もレベルは高いです。イーストコーストを中心としたプロリーグです。
試合給が支払われるだけのプロリーグ
- ABAは一応プロバスケットボール選手という括りになるわけですが、その実態は?
- 岡田選手:試合給が支払われるだけで、それ以外は普通に仕事をしている選手が多いです。中には月契約で月給が出る選手もいますが、ほとんどが試合の度にちょっとした額をもらう程度です。僕はビザの問題がありますので、お金はもらえません(※給料をもらうためには就労ビザなどが必要)。
- では、どのようにアメリカで生活しているのでしょうか?
- 岡田選手:日本にいる間に得た収入やスポンサーの方々からのサポートを切り崩してチャレンジしているのが実状です。
- アメリカ人が受け取る試合給はいくらくらいになるのですか?
- 岡田選手:100ドルくらいですかね。もちろん実力社会ですので、半分しかもらえない選手もいます。試合数は20〜30試合なので、さすがにバスケだけで生活していくには厳しい世界ですね。
- アメリカ人がABAでプレイする目的は何だと思いますか?
- 岡田選手:レベルアップはもちろんですが、海外でプレイすることを視野に入れてます。
- 岡田選手:ズバリ言うと、やる場所が限られているからです...。あとはGYMRATSの活動を続けたいし、アメリカにいることで何かしらバスケをサポートできることを見つけるために居座っています。
次回(1/18配信予定)に続く。
次回は、GR JAPANや川村卓也選手のアメリカ挑戦について。
(右)ボーンコレクター