車椅子バスケ
女子車椅子バスケのエースが語る、High8の面白さと新たなる挑戦
毎年末に行われる車椅子バスケットの第9回High8選手権大会(詳細はレポートへ)で、10年間女子日本代表として活躍している添田智恵選手をキャッチした。この大会はローポインター(持ち点1.0〜2.5点)が出場するが、女子は特別ルールとして通常の持ち点の半分でカウントされるため、添田選手も出場していたのだ。2009年はブランクもあったが、久しぶりの大会での感触、High8の面白さ、そして2010年に向けての意気込みを聞いた。
プロフィール
添田智恵(そえだ・ともえ)
ウィング所属。持ち点3.5、ポジションはフォワード。1975年1月9日生まれでバスケ歴 は13年。
1998年のゴールドカップ(世界選手権に相当)で日本代表初選出。シドニー、アテネ、北京パラリンピック出場。
スピード感溢れるアグレッシブなプレーが魅力。
ウィングチームHP http://members2.tvnet.ne.jp/hata3/
眠っていた部分にWake up callをかけられた
- まず、High8選手権での3試合を終えての感想を聞かせてください。
- 添田:この大会はローポインターの大会なんですが、女子はパワーだとか持っているものが男子とはやっぱり違うので、大会側が持ち点の高い選手も入れるようにしてくれています。だから本当は...勝たないといけなかった。予選リーグは2試合とも負けちゃったんですよ。しかも1試合は1点差で、次の試合はボロ負けっていう...(苦笑)。まぁ2試合目は全国1位のチーム(宮城MAX)とだったのでしょうがない面もあるんですが、最後は勝てたので、とりあえずよかったです。
- 添田:ううん、以前からです。女子はチーム数が少ないので、女子同士でなかなか試合が組めないんですよ(※1)。なので男子のこういう大会に参加させてもらっているんです。ありがたいことに。
- 先ほどのお話にもありましたが、日本選手権2連覇中の宮城MAXとやってみてどうでしたか?
- 添田:宮城MAXとは全日本女子の合宿でも練習試合をさせて頂くなど、お世話になっているんですね。だから非常によくわかっているんですけど、まーとにかく速い!(笑) もう、技術がずば抜けて高かったです。
- 添田:あります。ここしばらく仕事などで忙しくて練習を休んでいたんですが、今月から本格的に再開して、どのくらい戻ってきているかを確かめるにはちょうどいい大会でした。もちろんほとんどやられてしまったんですが、自分の中での戻ってきている手ごたえみたいなものを少しですが感じられましたね。特に宮城MAXは男子の中でも強いチームなので、そういう相手に必死でくらいついていこうという気持ちから、ちょっとこう...自分の眠っていた部分?をガン!と上げることができて。
- 添田:いや、まだ全然目覚めてないんですよ!(笑) でも、続けてトレーニングしていけば目覚めそうかな?という手ごたえがつかめたので、私としては今大会はとても良かったです。
※1:2009年の連盟登録数は男子82チーム、女子8チーム。北海道・中国地区には女子チームの登録はなく、関東地区のみ2チーム、他地区は1チームずつという構成になっている。

ローポインターの努力の成果にぐっと来る
- 添田選手にとって、High8だからこその楽しさ、面白さとは何でしょうか?
- 添田:プレーするのも楽しいんですが、他の方のプレーを見るのがすごく勉強になります。普段はハイポインター(持ち点3.0〜4.5、より状態がよい選手)がいるので、ハイポインターが点を取ったり、彼らを生かしたりというプレーが多いんですが、彼らだけがよくてもダメなんだなというのがまざまざと感じられます。光があれば影があるじゃないですけど、影のこの立役者達が、いかにすごいトレーニングを積んでこういった大会に来ているかといったことが観ていて想像できるんですね。
- 添田:はい。そこから、改めて自分ちゃんとやれよ!と自分のモチベーションにつながっています。決して日が当たるところではないのに、チームのためだったり自分のためでもあったり、それぞれの目的があるんでしょうがとにかく1人ひとりすごく頑張って毎日練習している、その成果を見ると、ぐっとこみ上げてくるんです。そんな選手たちを見るというのは、いいですよね。いい大会ですよね。私はすごくいい大会だと思います。
- 添田選手は普段はハイポインターに入りますが、ハイポインターはローポインターはそんなふうに見ているんですね。
- 添田:点を取っていたりだとか状態のいい選手がどうしても目立つんですが、ローポインターの協力があってハイポインターは点を取りに行けているわけだから、それを忘れちゃいけない!と思います。なかなかそういうところってどのスポーツでもクローズアップされないじゃないですか。玄人好みになっちゃうんですよね(苦笑)。
- 確かにそうですね。加えて、ローポインターの選手たちはそれを忘れさせるくらいのパフォーマンスなのでつい見落とされがちなのではないでしょうか。
- 添田:確かに。実際試合をやってみても、あのスピードの中であれだけ車椅子を操作できるのはすごいなぁと思うばかりでしたね。皆胸くらいから下が利かないんですよ?本当にすごい努力です。私なんかがとうてい追いつけるものじゃない。頭が上がりません。
2010年もチャレンジャー全開!
- 最後に、添田選手は今後も女子を引っ張る存在として...
- いやいやいや(笑)。女子を引っ張る存在として、2010年の目標を聞かせてください。
- 添田:まだ取り立ててはないんですが、漠然と、"うまくなりたい"という目標は一貫して持っています。私、すごい勝気な性格ってわけじゃないんですが、負けず嫌いなんです。勝ちたいとはそんなに思わないんですよ。ただ負けたくはない。試合中に1つ悔しいと思ったら、「あれが下手だからできなかったんだー!」ってそれでしばらく食べていけるくらい。アホなんです(笑)。だから、目標もどの大会でどうというのはないんですが、うまくなりたい。あとは、今年から男子チームに入れてもらって、女子のチームと両方登録することにしたので、そこでなんとか。
- 添田:関東ブロックはできるんですよ。今まで十何年、女子のチームでやってきたんですが、せっかくの人生なので思い切りやらせてもらおうと決意して、千葉ホークスという全国2位のチームの練習に参加させて頂いています。今、ハードなトレーニングに必死でついて...ついて行けてないんですけど、ついて行っています。試合も上のリーグ(※2)の人たちと経験させてもらえているので、そこで女子として通用する何かを得られたらいいなと。たぶんこれで男子の中でもプレーできるだろうというものは、自分の中では見つけてはいるんですよ。
- 添田:たとえ同じ持ち点でも、女子はパワー、スピード、シュート力はどうしても負けてしまいます。じゃあそれに勝つにはというと、あとはテクニックかなと。まだまだないんですよ、ないんですけど、ね。自信を持てる何かを見つけ出してやろうと。それで男子の中をかいくぐって行って、ちょっとでも通用すればいいかなと思います。
- 添田:そうですね、男子とやるときは、チャレンジ。守ってなんかいられない。チャレンジャー全開でいくので、是非試合を観に来て下さいね!
※2:関東車椅子連盟では、スーパーリーグ(上位リーグ)と、北関東リーグ・南関東リーグ(下位リーグ)に分かれてリーグ戦を行っている。千葉ホークスはスーパーリーグ、ウィングは南関東リーグに所属。