ストリートボール
南半球から成り上がる道(後編)

プレイグラウンドを選択する濃度

  • bj富山(2006-2007)でもプレイした実績がありますが、実際に日本のプロリーグに入って、感じたことやその後の海外経験と比較して、2年目のbjリーグはどんな感じでしたか?
  • ST:今だから言えることはやっぱり「日本のリーグ」だなって。例えば、良くも悪くも、最初に契約さえできれば、シーズン中にクビを切られることはほとんどない。僕も自分から辞めると言いましたし。
    自分が本当にバスケをやりたくてプレイしている選手がどれだけいるのか?僕はそこに懐疑的な意見を持ってる。
    否定するわけではないけど、やっぱりキャリアがあれば続けられるのが日本のバスケだと感じています。自分がプレイグラウンドを選んでプレイしているかどうかという点では、海外に比べると意識の部分での濃度は薄いかもしれない。超あいまいですけどね。笑
    僕はバスケットボールはとても魅力的なスポーツだと感じてます。世界的に見ても、サッカーとバスケットが両輪になるほどの人気がある。普通、人気スポーツには地域差があるけど、サッカーとバスケットは世界規模で人気があることは間違いない。
    ではなぜ、日本でバスケがこんなにも根付かないのか?
    バスケに罪はない。じゃぁ、どこにって考えれば自ずと答えは出てくるよね(笑)。しょーもない問題が多すぎる。既得権益と呼べるほど大きなパイではないにも関わらず、そこにすがる人間は多い。ただバスケをしていれば満足、と思っている選手もハッキリ言って居る。

IBLを途中で断念した真相

  • 昨春には再びbjトライアウトを受け、いろいろと話はあれど、結局はどこのチームからも誘いが無く過ぎ去りました。当初予定していた2009年はどのようなものだったのでしょうか?
  • ST:それはちょっと話を遡らねばならないのだが...。
    IBLのシーズン途中で日本に帰ってきたことには理由があって、僕の父がガンで入退院を繰り返すような状況になり、それ以前に僕の母が、筋萎縮性側索硬化症(ALS)と言う何万に1人という難病を患っています。それをサポートしなければいけない。その病気は最終的には寝たきりになり、普通に食べることもできない。しかし、意識はしっかりしている。簡単に言えば、人形の中に心だけ埋め込まれているような状態。その治療をするためにはお金がかかる。父も病気を抱えながら、仕事もあり、無理をしてしまう。無理がたたっている中で僕はアメリカにいた。
    兄弟もいますが、僕が日本に帰ってくることが一番だったし、必要な選択だったので帰って来ました。一日中、いわゆる介護をするため、平日に普通に仕事をするのは無理。でも休日は、他の家族の時間が空くし、もちろんプロバスケプレイヤーになりたいという気持ちもあったし、そこに合致したのがLEGENDだった。というわけで、2007年はLEGENDでプレイしていた。
    残念ながら2007年に父は他界し、母のサポート体制も整いつつあったので、2008年は家からさほど遠くない東京か埼玉のチームに入れればと思っていたのですが、それは叶わず。昨年はもっと範囲を広げ国内であればと思って、いろんなチームと話しもさせてもらったんだけど......。
    タトゥーを入れてる選手が新たにチームに入れる可能性はほとんどない。リーグ側の意向やスポンサーケア等もあるのでしょうし、日本でタトゥーが認知されていない以上、その気持ちも分かるけどね。
    そういったいろんな状況もあって、国内でやりたかったけどダメだったのが2009年。じゃぁ、国内がダメならば海外だろってなった時に、タイミング良くペルーの話しがあった。
  • 今回、日本を離れてしまうわけだけど、お母さんのサポートは大丈夫なんですか?
  • ST:病院が併設されている介護施設で24時間看護婦さんが対応してくれて治療を続けています。
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ストリートボール日本代表

  • さらに昨年は、UNDERDOGができたり、SOMECITYに参戦したり、ストリートボール日本代表「RISING SUNS」としてパリへ行ったりと、ストリートでも新たなる刺激が多かった年でしたが、振り返っていかがでしたか?
  • ST:年明けから自分の中で節目になることから3つやろうって決めてました。そのひとつが「ALLDAYで優勝したい」。でも、優勝するにはチームが必要なわけで...。優勝をするためならば、一回限りでも良いからメチャクチャなチームを作ろうと思ってました。タイミング良くM21らがF'SQUADを抜けたこともあり、声をかけたらちょうどチームを作るって話しになってたようで、「じゃぁ、いれてよ」って。M21のつながりでいろんなメンバーが集まって作ったのがUNDERDOG。おかげさまで2回連続優勝&MVPを頂いて、これは大きかったですね。
  • ストリートボール日本代表「RISING SUNS」はどのようにして作られたのですか?
  • ST:RISING SUNSは、ALLDAY優勝した後にジェイソンから「パリで行われるストリートの世界大会に出ないか」って誘われたのが最初。その前にジェイソンとは、代々木のコートでゲーム中に超バトってんですよね。笑
    ALLDAYの1回戦でも対戦して、「自分たちに勝ったチームが日本代表になるべきだ」っていうジェイソンの持論があるみたいで...。で、そこから僕とジェイソンで選手集めを始めました。
    とはいえ、大会まで3ヶ月を切っていたし、JBLやbjもシーズン中だったしね。選べる人間というのは限られていたので、気持ちが強くて、外国人に慣れている選手を選ぼうと言うことで選んだのが、僕とATSUSHI、MATSU、M21、TAKAKUとMr.フリー、そしてジェイソンの6人。突貫工事でチームを作ってパリに行きました。

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全身ジョーダンブランド支給

  • 「QUAI54」のレベルや環境はどうでしたか?
  • ST:いやぁ〜、QUAI54はALLDAYの...。
    って、ALLDAYをネガティブに言うわけではなく、基本のものさしとして比べると、20倍くらいすごい大会。ジョーダンブランドが公式にサポートしている世界で唯一の大会で、最新作ユニフォームに自分の番号と名前を入れてもらえて、ヘッドバンド、リストバンド、ソックス、バッシュは支給。バッシュは大会限定の最新作モデルを全選手に支給。さらにプレイヤータグを付けていれば、会場内のケータリングは食べ飲み放題。
    参加チームはフランスだけじゃなく、アメリカ・NY選抜やドイツなど諸外国選抜チームも参戦していたし、レベルはメチャクチャ高い。
    一番印象に残ったのは笛。レフェリーは3人しっかりいて、行く前は「ファウルなんて吹かれないし、相当タフなんだよね」って聞いていたのに、最初の試合を見たらレフェリーがメチャクチャシビアに笛を吹いてくれている。普通にインドアと同じ笛で、そこにアジャストできたチームが勝っていくような感じ。それは良い意味で衝撃的だった。
    日本の場合、ストリートだから荒くて良いような風潮もあるけど、それはどうなのかって僕は思う。結局、ストリートボールが荒いって思われるのは、アメリカの影響もあると思う。でも、そのアメリカだってお互いのインパクトがスゴイだけであって、故意に手を出したりとかは実際無いんです。そういう感覚の違いが、日本と海外のストリートの大きな違いかな。
    僕らが対戦したチームが優勝したチームで2連覇を果たした強豪。このチームを相手に12点差くらいで負けたのかな(※実際の試合結果は38-20)。
  • 「QUAI54」開催中、大会オフィシャルサイトではSTが写真付きで紹介されていたし、かなり良いスタッツを残したようですが?
  • ST:20点中11点を決めました。そういうのもあってか、現地では評価してくれている人も多かったですね。地元のLEGENDの(伝説となっている)ような方と一緒に練習する機会もあったのですが、僕のことを気に入ってくれたみたいです。フランスプロバスケリーグに参戦することがRISING SUNSを通じて、かなり現実に近づいて来たのかなって感じてます。逆に言うと、フランスリーグは秋から始まるので、それまでにペルーで良い数字を残しておくと、それを持って売り込みができる。

チャンスを掴めるチャンス到来!

  • そんなチャンスを掴めるチャンスが、2/27にはライジングサンズの第二回トライアウトがありますね!
  • ST:そう!そんなチャンスを掴めるチャンスが(笑)2/27(土)にあります。夜8時(7時受付開始)からトライアウト開始で、土曜だし、遠くからも来てもらえるのかなと期待してます。
    →トライアウト詳細

バスケで成り上がることが罪滅ぼし

  • ペルーリーグへ挑んだ後、今年の後半はどのようなイメージを持ってますか?
  • ST:自分の中ではペルー経由フランス行きが一番、理想的です。フランスに入れれば、ヨーロッパは地続きなので、自分に合ったチームをヨーロッパの中から探せるということにも期待してます。また、日本人未開拓の地でもあるので、そこに対するアイキャッチは高いと思う。フランスでも言われたけど、「今までにいないタイプだからやって欲しい」というのもあるようです。現行のまま続けるよりも、外部からの新しいスタイルが入ってくることはフランスリーグにとってウェルカムみたい。
    とはいえ、レベルを満たしていないといけない部分もあるので、タイミング良く参戦することができればいいですね。ヨーロッパは(サラリーの)桁が違いますからね。僕が海外にこだわる理由は、さっき話したこととクロスするんだけど...。
    日本の企業に就職してお給料をもらいますっていう形もひとつの生活の手段ではあるけれど、現状、自分が一番お金を稼げる手段はやはりバスケットなわけで。じゃ、なんでお金を稼がないといけないかと言うと、母の治療費は他の病気とは違い、かかるものはかかります。親不孝をしてきたので、母も応援してくれているバスケットで成り上がりたい。母の治療費もカバーできるほどになれば、少しは罪滅ぼしになるのかな。
    もちろん自分がレベルアップしていけば、アスリートとしての夢は成し遂げられる。今までは、武者修行というか、自分の可能性を求めて漠然とトライしていたけど、今回に関してはやらなければいけないことと感じてる。
    逆に今までの大学卒業後の約5年間を今年挑むまでの準備期間だと思ったら納得できる時間だったし、納得のいく密度だった。それを糧にしてどんどん羽ばたいて行けるのであれば、きっと良かったことも悪かったことも全てあるべきことだったと振り返られる。

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