リーグ開幕から2ヶ月。エリック・ガードーHCが就任し、千葉ジェッツがチーム作りを始めてから半年が経つ。12月4日現在、9勝7敗と勝ち越しており、イースタンカンファレンスにおいて堂々3位に位置する。さらに、リン・ワシントン選手をケガで欠いているとはいえ、ウエスタンカンファレンス首位・大阪に75-59、16点差をつけて快勝した。
この順調なスタートを選手はどう見ているのだろうか...。佐藤 博紀選手とともにチームキャプテンを務める板倉令奈選手にここまでの千葉ジェッツのチーム状況を伺った。
(板倉選手、ガードーHCへのインタビューは12月1日大阪エヴェッサ戦終了後に敢行)
板倉選手「チーム発足当初からアグレッシブに行くスタイルをガードーHCは作って来ましたので、ある程度はチームとして順調に来ています。ただ、ここまで勝ち星を積み重ねられるとは思っておらず、良いことではありますが予想外でした。本当に強いチームと対戦した時に、このチームがどのくらい戦えるのかということも常に考えていました。そして西の1位である大阪と対戦することでどうなるのかなと期待していました。良い意味で勝っても負けても、自分たちが目指しているバスケットがどれくらい通用するのかを試したかったのですが、大阪がそういう状態ではなく、我々の弱点が露呈されないまま試合が終わってしまいました」。
しかし、勝ち星が先行し、上位グループにいることで自信にもつながっているのではないだろうか?
板倉選手「正直言うと、強いから勝っているかという印象はまだありません。だから、千葉が強いからこの順位(インタビュー時4位)にいるとは、僕は感じていません」。
ガードーHCは、その大阪戦後の記者会見では、以下のようなコメントを残した。
ガードーHC「西の1位である大阪に勝ったことはうれしいですが、ワシントン選手がいない状況での勝利だということは分かっており、けっして満足はしていません。今日はチームとして、ディフェンスからリバウンドまでしっかり守ることができ、エナジー溢れるプレイを全員がしてくれました。まさに自分が目指すディフェンススタイルを表現してくれたのでうれしかったです。しかし、オフェンスの面では簡単な得点を決められずチャンスをものにできませんでした。この課題点がチームとしてもっとうまく機能し始めたら、bjリーグのどのチームを相手にしても良い勝負ができると思っています」。
ディフェンスとリバウンドを徹底させながら、チームの骨格を現在進行形で作り上げているガードーHC。しかし、まだまだ課題が山積である。
板倉選手「ディフェンスから流れを作るようにガードーHCには言われていますが、チームの現状はオフェンスの調子が良くないと活気が出ず、流れがつかめません。秋田はその点をうまく抑え、11月12日のホーム2戦目はミスマッチをつかれて大差(71-96)でやられてしまいました。チームディフェンスのルールもあったのですが、あの時は前半しかできない状況でした。スタッフの方々はスカウティングをしっかりやってくれています。それを僕たちにフィードバッグして練習から対策をしているのですが、試合になるとスカウティング通りにゲームを運べていません。それでも勝ってる試合はいくつかあり、負けてる試合もやることをやっていないで明らかに負ける試合になっている状態です。しっかりとルールを守って、僕らのバスケットをすることが大切になります。特にディフェンスの面が課題になると思っています」。
そのディフェンスだが、この日の大阪戦も3Qには前からプレスをかけたことで流れを呼び込み点差が開いた。
板倉選手「ディフェンスはチーム練習が始まった当初からプレスの練習をしてきましたし、ディフェンスは気合いです(笑)。プロフェッショナルとして選手が独り立ちしていると信じてくれていますので、HCもそこまで細かくは言いません。コートの中で解決していこうというのがHCのスタイルです」。
これまでの二つの回答にある『オフェンスの調子が良くないと活気が出ない』『コートの中で解決する』ことについて、ガードーHCの見解はこうだ。
ガードーHC「(12月1日大阪エヴェッサ戦の)前半は単発でのシュート場面が多く、入る時と入らない時でチームのムードも大きく変わります。若いチームということで精神的にデリケートな部分もあり、シュートが入ると他の選手全員の自信にもつながりますが、入らない時の精神的なダメージは大きくチームの課題でもあります。チームのリズムが悪い時の解決策の現状は、選手交代をしてディフェンスからリズムを立て直す指示を出しています。まずはディフェンスで相手の流れを止めて、走ってチャンスを狙いながらリズムをつかむようにしています」。
重たい状況になった時、交代でリズムを変えるガードーHCだが、選手自ら打開できるフロアリーダーがいればまた流れも変わってくるのではないだろうか。
板倉選手「チームのオフェンスの中心はモー(モリース・ハーグロー)ですし、プレイタイムも一番長いのでコート上でのリーダーになるのはモーだと思います。しかし、チームとしてはまだ未熟でどう攻撃して良いかが全然できていません。ここでとどめを刺せるというオフェンス時にも単発で打ってしまったりして、相手に付き合ってしまってリズムが悪くなることが多いです。ここ一本欲しい時に堅実なバスケットが必要なのですが、アグレッシブに行って判断をミスしてしまうこともあります。今はシュートが入れば勝つけど、落とせば負けるというギャンブルな面が多いです。このことはみんな分かっていることですが、今はチームとしてアグレッシブなオフェンスを求められていますので、そこはHCを信じてやっています」。
流れが悪い状況の中、チームキャプテンとしてできることとは何か?
板倉選手「(佐藤)博紀や石田(剛規)とは、しょっちゅうその話をしているのですが、とにかくチームが掲げるアグレッシブな攻撃スタイルに、僕らも乗っかっていかないといけません。そこに乗っかった上で、リーダーシップを発揮したり、日本人選手たちのパイプ役になったり、日本人らしいきめ細やかなバスケットも織り交ぜながら結果を残したい。そのためにも今はまず、チームのシステムを理解し体現していかないと何も言えないので、コートに立ったら必ずシュートを打って決めることを考えています。今はナイスパスよりもタフシュートでも何でも、シュートが決まればチームは波に乗れるので、まずはアグレッシブなオフェンスをすることをみんなが心掛けています」。
最近、板倉選手自身の得点シーンが増えたのはその現れだ。若く新しいチームゆえに、さらなる成長への期待値は高い。
板倉選手「伸び白はどのチームよりもあると思います。サイズこそありませんが、1on1では負けるような選手はいません。実際に白星も先行しているわけですので、もっと1人1人が洗練されてチームとしてさらに呼吸があってくれば、相手がスカウティングできないような、オフェンスの的を絞ることができないような、そんなチームができる気がします。そういうチームが一番恐いと思いますし、HCもそんなチーム作りをしていると思います」。
ガードーHCは「14人の選手たちを信じているし、誰が出ても活躍をしてくれる」と言っており、なるべく多くの選手をコートに出すような采配をしている。
板倉選手「全員のモチベーションを考えて采配しているのはありがたいです」。
コーチと選手との信頼関係も、着実に深くなってきている。戦績は好調な千葉ジェッツだが、なかなか会場が埋まらない現実がある。
板倉選手「平日開催もあり、状況的にお客さんが来にくい日程でもあります。千葉ってこんなに大きいんだなということを、千葉に来て初めて実感しています。同じ県内でも移動に2〜3時間かかる人もいます。なので、とりあえずは会場となっている船橋や浦安、市川から広めていきたいです。そして何よりもしっかり僕たちが勝って、千葉のプロバスケチームは強いらしいよ、ということをどんどん広めて行きたいです」。
社員選手だった東芝の時と今のプロ選手の立場で観客に見られているという感覚は何か違うものがあるのだろうか?
板倉選手「今も昔もそれほど感覚的には変わっていません。東芝の時は同じ職場の方が会場に来て、がんばってるな、と思っていただいていました。プロになっても変わらず、週末に地元の方々が見に来ていただき、千葉のチームががんばってるな、と思っていただき、お客さんも次の月曜からまたがんばろうと思ってもらえるのがスポーツの使命です。しかし、お客さんの数が生活に直結しているなというのは、bjに来てから痛いほど感じています。実際に潰れているチームもあるわけですからね。そこはすごく感じています。僕ら選手はまだ、どこか違う場所でプレイできる可能性もありますが、チーム運営の方々はしゃれにならないくらい大変です」。
最後に素朴な疑問をひとつ。選手はフルハウス(満員)を欲しているのだろうか?
板倉選手「もちろん満員の中でプレイしたいです。仙台の開幕は5千人が入ったじゃないですか?5千人の中でプレイするってどんなものなんだろうって思います。ウィンターカップは1万人くらい入りましたけど、それ以降はマックスで代々木第二でしょ。僕がこれまでプレイして来て、最高は3千人くらいですので5千人のファンの中でバスケがしたいです」。
船橋アリーナを満員にできれば、その夢は実現できる。プロチームとしての成功は、勝つことはもちろんだが、集客していくことも大前提としてある。今月は17日(土)18日(日)に富山グラウジーズを迎えて八千代市市民体育館で、そしてクリスマスゲームとなる23日(金)24日(土)は5千人収容できる船橋アリーナで新潟アルビレックスと対戦する。満員にするためにも、ぜひ会場へ足を運んでいただきたい。
年が明けると、bjリーグから唯一、オールジャパン2012に出場する。その対戦相手も決まり、初戦はツースリーvs早稲田大学の勝者と対戦。しっかりここを勝利すれば、JBLのレバンガ北海道と対戦する。トーステン・ロイブルHCのもと新体制となったレバンガ北海道は、千葉ジェッツ同様にディフェンスからチーム作りを行っている。そして、少しずつ開花しており、この2チームの対戦は今からものすごく楽しみだ。オールジャパンで優勝すれば、500万円のチーム強化奨励金という名目の賞金が付いてくる。プロである以上、しっかり勝って、がっつり儲けてもらいましょう。
(text by: Izumi)
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