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見ると観る

バスケ会場に足を運ぶ方の多くは、熱心な「見学者」だ。もちろん地域密着を掲げるプロチームで、なおかつ集客面で成功している試合会場は「観客」で埋まっている。
見ると観る。同じ読み方だが、この2つはスポーツにおいて大きな差がある。

「黙って見学するように」と諭されることが多かった幼少期。読んで字の如くじっくり見て学ぶ行為である。バスケ会場でエンターテインメントを駆使して盛り上げようとしても、見学者には響かないのはそのためなのか...。
一方の観るという漢字は、もう一文字組み合わせることにより「歓喜」「歓声」と感情豊かな文字に変化する。バスケを難しく考えず、楽しむためには「見学者」よりも「観客」を増やしたい。

先日のインカレ女子決勝戦。最初は静かなものだった。その中で、早稲田大学はOBOGが「シュートを打て〜」と檄を飛ばし、審判に対して「ファウル」とチームを養護するブーイングを発していた。対する大阪人間科学大学はともに長渡監督がチームを見ている妹分の大阪薫英女子高校がベンチ裏2階席から声援を贈る。接戦と言うことも大きな要因ではあるが、その2校の応援団に後押しされるように、最初は見学者であった方々が観客へと変貌し、会場内は大きな歓声に包まれた。

バスケ会場という共通思考の空間を共感することにより、新しいコミュニケーションも生まれる。以前、何の予備知識も無いままNCAAを観戦した時、隣や前に座る方々が次々と見どころや注目選手を教えてくれることもあった。NBAでは隣のお婆ちゃんが興奮していた。そして、いつしかインプットされた側のチームを応援している自分がいる。そういうおせっかいも今の現場には必要なのかも知れない。
MCが一生懸命に煽り、チアダンスが会場を盛り上げてはいるが笛吹けど踊らず...という光景も良く見る。しかし、このように音頭を取る人やおせっかいは、シャイな国民性の日本人にとっては必要だ。見学者をいかに観戦する者へと導けるか。日本バスケ界の発展へ向けた一つとして真剣に考えなければいけない。選手たちは一生懸命に戦って良いゲームをすることが一番の特効薬であり、見学者は愛すべきチームを一つに絞り込むことであっという間に観客になるはずだ。

良いプレイには歓声を上げ、悪いプレイや敵対するチームにブーイングをする。決定的なシュートが外れた時、たった数百人でも溜息をつくだけで大きな音に変わることがある。歓声でなくても良い。頭に思い描いているその解説をブツブツと唱えるのもまたグッドノイズになる。それを聞いた隣席の人がまた声を上げて来るかもしれない。小学生の頃、音楽の授業で合唱する時よりも、抜き打ちテストに異議を唱えるブーイングの方が圧倒的に音量は大きかった。それが必要だ!

日本のバスケ会場が盛り上がっている風に見せるために、いくら集客が少なくてもザワつき感だけは他のスポーツに負けないようにしたい。ザワついておけば、知らぬ人が向こうからやって来る。
秋深き 隣は何を する人ぞ...である。
今週末も各会場で大なり小なり、良くも悪くも声を出そう。

text by IZUMI





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