日本バスケットボール協会(以下JBA)がしっかりと統括したプロリーグが一つあれば良い。2つもバスケリーグはいらない。そう、サッカーのように────
NBAと日本の情報くらいしか知らなかった少し前までの筆者は、先に挙げたような状況が望ましいと真剣に思っていた。それこそが日本バスケ界の未来を明るくしてくれると信じて疑わなかった。しかし、日本代表を通して見えたアジア各国の状況や若い選手たちがもがきながらも海外リーグに挑戦している現状を目の当たりにし、答えは一つではないことを、日本だけに求めなくても良いことを、今さらながらに知る。
10月12日に行われたJBA理事会において、「男子の日本リーグとbjリーグを統合する新リーグは予定通り2013年秋の開幕を目指し準備を進めること」(共同通信)と報道された。JBL開幕記者会見でも「2013年の次世代リーグは急務であり、今年中には参加チームを固めて開幕に備えたい」という意向を伊藤善文JBL理事長が述べた。
報道では『統合する新リーグ』とあり、当の関係者は『次世代リーグ』と言う。JBLとbjリーグはそのまま残しながら、そこから意志に沿ったチームが参加する『次世代リーグ』を目指しているようだ。
せっかくbjリーグやJBL2はチーム数が増加しているのだから、頂点を狭めても良いが裾野はある程度は広めて行ってもらいたい。
2013年に立ち上げようとしている『次世代リーグ』は何を目指すのか?
アジア選手権を戦った男子日本代表が7位で終わった。この低迷から抜け出せない状況を危惧し、次世代リーグから強化を図りアジア復権を目指すことも前提としてある。
しかし、そのために何をするのかが見えてこない。
現状のまま2つのリーグの中から数チームが次世代リーグに上がったところで、何も変わらないだろう。例えば、外国人のオンザコート制限の違いがネックになっているということ自体がナンセンス。1人でも3人でも結局は日本人同士、外国人同士のマッチアップになってしまう現状。日本人vs外国人がマッチアップするような図式を作らなければ国内リーグでの対外国人に対する強化は期待できない。ホームでは3人、アウェイでは1人と差をつけることで、勝ち抜けるチームは日本人のレベルが上がっているという指標になる。
全ての試合で平均化する必要はなく、ホーム&アウェイがハッキリしない現状に一石を投じるような思い切った改革が欲しい。ホームチームが勝てば、それだけで地域の活力になれば良い。
リーグ内のチーム力の平均化を促すドラフト制度待望論も議題に上がるだろう。単に国内だけで完結するリーグであれば必要だ。しかし───
元はと言えばFIBAがクラブ世界一決定戦を視野に入れ、2つリーグがある日本はどっちが代表になるんだ?というイチャモンから端を発しているわけで、世界に通用するチームを作るならばドラフトは不必要である。金にものを言わせて国内最強チームを作り、アジアや世界に出て行って勝てばそれで良い。
その代わり、FIBAは移籍金などを導入し、弱いチームの運営を手助けできるような選手を売買できる仕組みの構築が必要だ。
海外チームとどんどん対戦することこそが手っ取り早い強化であり、その代表を決める程度の次世代リーグがちょうど良い。
田臥勇太の名前はバスケファン以外にも広く知れ渡っている。その選手がまさか近くの体育館で試合をしているとは、バスケファン以外にはなかなか浸透していない。会場近くで試合が行われてることを知らせるプロモーションが必要だ。
そして実際に会場に来ていただいた暁には、次も見に来たいと思わせるホスピタリティも大切だ。一見さんにとっては、どこで見て良いのかが分からない。ホーム、アウェイ応援席やバスケ全体を見たい人、選手の顔を見たい人など、それぞれの動機に合わせたエリアを区画化し、初めてでも楽しめて見られる環境作りが欲しいところである。
やってる張本人である選手たちには、お金を払って見ていただいているという意識を、もーーーっと強く持たなければいけない。
これはプロチーム以上に、企業チームこそ意識しなければならない。会社の経費を使ってバスケに専念させていただいている環境。結果を残さなければ単なる会社のお荷物に成り下がり、バスケに熱い権力者がいなくなればあっという間に淘汰されてしまっても不思議ではないし、過去に同様なことが何度も起きた。会場に社員が来てるのは応援ではなく、査定と思うような危機感が必要だ。
観客が増えればモチベーションは高くなり、パフォーマンスも比例して高まるはず。だが、次世代リーグが始まっても、観客数が倍増するとは考えにくい。集客数がそのままサラリーに反映する仕組みなどを導入し、選手も含めたチーム全体としての集客アップへ向けた方法を真剣に考えなければ、いつまで経っても収入源は増えず、選手たちの実質的なサラリーアップはやって来ない。
もう一つ。会場となる体育館自体がそもそも集客数を倍増できるキャパシティを持ち合わせていないケースも多々ある。リーグとして、JBLの大企業やbjが進めて来た地域密着、そしてJBAが司る地方協会や麻生会長の政治力など使えるものは全て使い倒し、ホーム地域の行政や地元企業とともに地域発展を目指す未来図が欲しいところだ。
Jリーグはプロ化に踏み切っただけで成功を納めたわけではない。そもそもまだ成功には達していない。
ご存じのように地域密着を掲げるチーム名、その地域のサポーターを受け入れるだけのスタジアム整備、そして裾野をしっかりと育てるピラミッド構造など、伏線をしっかりと築き、そして100年構想へ向けた旅はスタートし、今なお模索しながら進化している。
翻ってバスケ界が提唱しているのは、2年後に次世代リーグを作るという短絡的なプロジェクトであり、その先が見えてこない。漠然としたこと以外なかなか情報が出ないので、もしかすると大層なことを企てて驚かせてくれるのかもしれない。そんな淡い期待を抱きながら、2013年を待つとしよう...。
まだまだ次世代リーグは想像できず、桃源郷でしかない。
しっかりとプロ意識と向上心を持って励めるリーグであれば、プロでもアマでもどんな体制でも良い。ただし、今のまま端的に次世代リーグに移行すれば、さらに甘い環境ができるだけである。何となくバスケして、それなりのサラリーをもらって、ワーキャー言われて、今よりもほんのちょっとマスコミに騒がれて...。
プロリーグにすると引退後の選手たちが路頭に迷うと言うことも、プロ化に踏み出せない一つの理由だったが、今の環境でも十分に甘やかしており、企業チームに属するプロ契約選手たちの第二の人生はモノクロにしか見えない。
次世代リーグは現役選手だけではなく、子供たちが夢見るようなリーグであり、引退した選手たちもさらに輝けるような舞台になって欲しい。そのための理想を追求してから、現実と擦り合わせたリーグ作りが良いのだが、どうも最初に挙げたようなオンザコート制限数のような具体的な話ばかりでは夢はなく、今と何ら変わらないとしか思えない。
プロ化という話題が出てからもう20年以上経つわけで、本気で理想を求めながら日本に合致し、世界と渡り合えるようなリーグを想像し、創造してもらいたい。夢の無いバスケ界だからこそ、まずは夢物語から初めても良いだろう。
Text by IZUMI
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