日本バスケ界が珍しく明るいニュースで各メディアに取り上げられている。栃木ではJBL制覇を称える歓喜の報道が続いており、まだまだその熱は冷めていないようだ。そして4/21(木)、JBA麻生太郎会長、JBL伊藤善文理事長、bjリーグ河内敏光コミッショナーをはじめ、3団体の関係者が一同に介し、「次世代型トップリーグの創設」に関する覚書に調印し、先に挙げた3者による固い握手が交わされた。
覚書の主な内容は下記の通りであり、プラスしてbjリーグのJBA承認が認められた。
「次世代型トップリーグ」とはプロと謳っていないので同じ歴史を繰り返さないか不安であると、前回「高まる期待と小さな不安」で綴った。その後、時間が経つにつれ、新たなる期待が沸いてきた。プロチームも企業チームも両方ともその舞台に立てるのが「次世代型トップリーグ」と思うと、ビジネスチャンスであり、世界に提唱できる夢のようなリーグでもあるのかもしれない。
現在のJBLはレラカムイとリンク栃木を除いた6チームが企業チームであり、bjリーグに所属する(来シーズンまでに確定している)16チームは全てプロチーム。JBLにはさらにJBL2という「バスケ競技の向上と発展を図るリーグ」があり8チームが所属。こちらにもプロチームのレノヴァ鹿児島がおり、来シーズンからはリンク栃木の育成チームの新規参戦が決まっている。また石川ブルースパークスは石川県バスケットボール協会が中心となったNPO法人チームというこれまた違った形態のチームもある。
JBL+bjリーグを合わせると、来シーズンにはプロチームが20、企業チームが11、NPO法人チームが1、合計32チームが存在する。この数字だけで世界と勝負すると、なんとNBA(30チーム)を越えるのである(もちろんNBAのDリーグやその他諸々マイナーリーグを入れれば圧倒的に負けているのだが...)。
「次世代型トップリーグ」がチーム状況をふるいにかけて、お金のあるチームだけの8チームでスタート...なんてことになれば、運営方法は現状と変わらず、スポンサー次第になってしまいかねない。何よりも絶対数が現在の1/4になることで、バスケ難民が溢れかえってしまう。もちろんこれを機に撤退したいと考えるチームも出てくるだろう。
例えば、参戦形態を一元化せずに、プロチーム・企業チーム、NPOチームなどを細分化して登録させる。登録費用は企業チームよりもプロチームの方を高く徴収するも、優勝賞金などの報奨に関してはプロチームはそのままもらえるが、企業チームの場合はバスケ普及・発展のために使用されるなど、入口と出口を登録によって分別することでそれぞれのニーズが保たれるかもしれない。リーグ運営に関しては、登録費を徴収せず、チーム収益のパーセンテージやリーグスポンサー、協会からの補助金などでも運用できるかもしれない。
また、プロチーム、企業チームの両方に長所と短所があるわけだから、現状を踏まえて長所を生かしつつ、それがチームの個性になるのが良い。選手の中にはプロよりも安定した企業チームの社員になりたいと望んでいる場合も多々ある。企業としての地域貢献、社員の福利厚生としてチームを活用することで、大企業であればあっという間に現状のアリーナレベルは満席にできる見込み観客が数多いる。そこを活用しない手はない。
プロチームの場合は、ホームタウンに新たなる娯楽とともに、雇用を生み出す仕組みも期待できる。もちろん地域に愛されることが成功への近道である。
これまで、「選手を路頭に迷わすことはできない」という協会や企業チームの情けも一つの要因となり、2度あったプロ化へ向けた動きが前へ踏み出すことは無かった。そして誕生したbjリーグ。チーム経営は上向きのチームがあれど、高松のように何とか今シーズンも参戦はできたが、来シーズンは全く分からないチームがあることもまた現実である。この高松の危機的状況をブースターが会場へ足を運び支援するのかと思いきや、見放したブースターも少なくはない。
選手たちの引退後はどうなるのだろうか?JBLに所属する企業チーム選手もプロ契約が増え、突然の不慮なケガなどで引退を余儀なくされた先には何があるのか?さらに、チーム誕生を歓迎するも、傾き始めるとファンもスポンサーも一緒にいなくなる現状。課題は山積である。

写真は2004/8/9に行われた「JBLバスケットボール日本リーグ機構脱退合同記者会見」の模様。この時も多くの報道陣が集まった。このようなネガティブな報道はもうこりごりである。
「次世代型トップリーグ」に難しくも、声を大にして期待したいことは、チームの平均化とともに、受け皿を増やすことである。平均化とは、ドラフトやサラリーキャップでチームの勝敗や選手の質を平均化する意味では全く無い。チーム運営を平均化し、健全なる経営ができるようにしていくことである。
もちろんそこにはそれぞれの経営努力が必要となる。その努力やノウハウを惜しみなく開示することにより、赤字続きだと思われたチーム運営に光が見える、そんなトップリーグ誕生には大いに期待する。願わくばチーム運営のサラリーキャップがあると良いだろう。資金内でどれだけ効率よくチーム運営ができるかを競うことはコート上よりも難しく、激しい戦いとなる。
しかしそのために、大幅な減俸を強いられる選手が現れるかもしれない。「次世代型トップリーグ」で1億円プレイヤーの誕生は現状あり得ない。2万人以上集客し、世界の舞台へ飛び出しているサッカーでさえ、たったの15人(そのうち日本人は5人)しか1億円プレイヤーはいない。ましてや集客は2000人規模でアジア10位のマイナースポーツに甘んじてる現状では、シーズン通したチケット収入の大部分が1人の選手だけで消えてしまうことになる。年俸が高い有望な選手には、リーグが率先して海外への道をサポートする仕組みも必要だ。海外リーグへ参戦することで強化を図りつつ、リーグが国際化する糸口を見つけることは今すぐにでも着手すべきだ。
大なたを振る気持ちで大きな目標を掲げながらも身の丈にあった経営ビジョンで末永く邁進してもらいたい。夢物語かも知れない。しかし、そのパンドラの箱を開けてしまった以上、その夢にすがりたい。現役選手たちには酷な話である。生まれて来た時代が悪かったと嘆くのではなく、歴史の第一歩を自ら切り拓き、一生涯バスケに携わるために今できることを精一杯全うして欲しい。
プロアマ混在の「次世代型トップリーグ」は、日本におけるスポーツビジネスの夜明けとして大いに期待している。国内外でスポーツビジネスを学んだ若い世代がその知識を開花させ、牽引できるチャンスかもしれない。
ファン(社員)、地域住民、子供たちに支持されるチーム作り、さらに地域を巻き込んだバスケ普及を目指し、自慢の我が家(ホームアリーナ)を築いてもらいたい。その土地土地に合った経営ビジョンで、しっかりと経営できるチームさえ出来れば、選手たちは黙っていても育ち、大いなる夢を持てるはずである。
さて、「次世代型トップリーグ」はどうチームや選手たちを導いてくれるのか?勝手なる期待とどうリンクし、はたまたかけ離れていくのか、3年間楽しむとしよう。
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