日本代表
3人の和で五輪を目指す

異例のヘッドコーチオールスター

2012年ロンドンオリンピック出場権を勝ち取るために集結した女子日本代表のスタッフ陣が発表された。
ヘッドコーチにはオールジャパン4連覇を果たし、Wリーグ3連覇中のJXサンフラワーズ・内海知秀ヘッドコーチ、アシスタントコーチにはここ2シーズン、JXとWリーグファイナルを戦っているトヨタ自動車アンテロープスのチョン・ヘイルヘッドコーチ、デンソーのヘッドコーチ就任後、1年目でチームをプレイオフに導き、今年のオールジャパンでもファイナルまで進んだ手腕を買われた小嶋 裕二三ヘッドコーチが就任。全く異なるバスケットフィロソフィを持つWリーグ上位3チームを率いるヘッドコーチオールスターを結集し、最大で最強のチーム作りを目指す。

各チームのヘッドコーチが揃って日本代表チームを率いるのは日本ではきわめて希なことである。これまではどこかのチームのヘッドコーチがその責務に就き、そのチーム以外のアシスタントコーチが就任するのが慣例であった。2004アテネオリンピック以来遠のいているオリンピック出場権を獲得することを最大の使命とする異例の人事となった。

男子アメリカ代表もヘッドコーチ集団で金メダル獲得

ヘッドコーチを集めた構成で活動している代表チームの例として、男子アメリカ代表が挙げられる。
2006年、日本で開催された世界選手権へ向けたチームからマイク・シャシェフスキーこと通称コーチKがヘッドコーチとして指揮を執る。デューク大を率いるカレッジの名将が世界最高峰リーグNBAの猛者を束ねている。そのコーチKを支えるアシスタントコーチには、マイク・ダントーニ、ネイト・マクミランのNBAヘッドコーチとシラキュース大のジム・ボーヘイムの3人のヘッドコーチがその責務を全うしている。2010年にはマイク・ダントーニからジェイ・トリアーノに代わったが、いずれもNBAのヘッドコーチであることは変わりない。
さらに、2006-2008年にはヒューストン・ロケッツで1994、1995年にNBA2連覇を成し遂げた名将・ルディTことルディ・トムジャノビッチがスカウティングディレクターとしてチームを支えていた。

日本のそれとは比べものにならないほどのドリームなスタッフ陣を擁しても、2006年は決勝の舞台に上がれず3位に甘んじた。類い希な能力だけではチームスポーツは勝てず、その反省を踏まえながら年月を重ねる毎にチームとして強固なものとなり、国際舞台の戦い方を知った若き才能たちは、その後行われた2008北京オリンピック、2010世界選手権と2つの国際タイトルでともに頂点に返り咲き、金メダルを獲得した。

ロンドンへ向けたラストチャンス

新体制で着実なステップを踏みたい女子日本代表だが、ロンドンオリンピック出場権を狙うチャンスは6月25日からトルコで開催される世界最終予選しか残っていない。その名の通り"最終"なわけで、この新体制で臨むことができるラストチャンスであり、一発勝負となる。

その世界最終予選には各大陸から1チームしか得られない出場枠に洩れた12チーム(ヨーロッパ4チーム、アメリカ3チーム、アジア2チーム、アフリカ2チーム、オセアニア1チーム)によって争われる。この最終予選から本戦へ進めるのは5チーム。5/12と確率は高いがその戦いは甘くはない。3チーム×4グループに分けられた予選ラウンドから上位2チームが出場権を争うトーナメントへ進む。計8チームが揃ったこのカードを勝利した4チームはオリンピック出場権を獲得し、この時点で最終予選を笑顔で終えることができる。
倍率は急に高くなり1/4。敗れた4チームは残るたった1つの出場権を賭けたトーナメントが行われ、2連勝しなければならない。プレッシャーもきつくなり、真剣勝負がさらに続く中、体力的にも辛くなる。何とか8チームによる決定戦で勝ち抜きたいところだが、アジア3位の日本は厳しい戦いが強いられることになるだろう。

オールスターはケミストリーが大事

ロンドンオリンピック出場権へ向けたオールスタースタッフのそれぞれの役割として、内海ヘッドコーチは「しっかり責任を取りながら、2人のコーチとともにしっかりコミュニケーションを取り合い(中略)戦術を作りながら戦って行きたい」、チョンコーチは「内海さんはオフェンス力が持ち味、自分はディフェンス力」、小嶋コーチは「スカウティングをして良い情報をお二人や選手に伝え、コート内外で頑張りたい」とオフィシャルサイトや各報道に掲載されていた。チョンコーチのみ「徹底的に変わらないといけない」と前体制が成し得なかった反省点を分かっているようなコメントが残されていた。初の韓国人コーチとして大いに期待したい。

よく大物選手の移籍や代表チームで言われるスター選手が集まった時に危惧されるケミストリー。このケミストリーは選手間だけでなく、今回結集されたオールスター級のコーチ陣にも当てはまる。短期間ではあるが信念のブレない強化体制を旗頭に良い化学反応を起こしてもらい、是が非でもオリンピック出場権を勝ち取って欲しいと願っている。

「すでに強化は始まっている」という女子日本代表チーム。順当にWリーグファイナルまで行けば、あと約1ヶ月半はそれぞれ敵同士なのである。その間にどう日本代表のためにより良いコミュニケーションが取れるのだろうか。時間は無い。これも異例な1月のスタッフ発表を行ったわけだから、Wリーグ期間中もムダにすることなく、オリンピック出場へ向けたアクションを起こしてもらいたい。JXに勝てないチョンコーチ率いるトヨタ、小嶋コーチ率いるデンソーのどちらかが、JXを破って最終的に高い位置にいることができたならば、すでに強化は良い方向で動き始めているという証になるかもしれない。

text by IZUMI





詳細や試合結果は各サイトへ

バスケットボールメディア

全国主要一般参加型大会
レンタルバスケコート


© ClutchTimes