
HOOP IN THE HOOD(以下HITH)は毎年のように裏切られる...。
本戦に勝ち進んだチーム名を眺めるだけでは正直、胸は躍らなかった。本戦よりも名の通ったチームが集結した最終予選となるTOKYO STREET SURVIVAL FINALの方が事前の期待値は高かった。UNDERDOG vs OGN☆ALLSTARS☆(以下OGN)、420 vs INHERITED平塚(以下平塚)。ALLDAYを制したUNDERDOG、BONDだけではなくコートにいる4人(DELA、K2O、SHUJI)全てがダンクを狙える420、今年はコート内でハッスルしていたKIDA率いるINHERITED平塚。予想通り、この2試合はオープニングマッチにしてベストバウトだとこの試合が終わった瞬間に満足していた。
平塚はKIDAのミスで逆転のチャンスを420に渡すが、DELAの3Pは決まらず17-16で逃げ切り、接戦を制した。毎年、HITHには現役JBL選手、チーム、bjリーガーがフラリと現れる。今年はいないのか...と思いきや、OGNにユニバーシアードで世界ベスト4になった時のメンバーであり、最後の大物、小野龍猛(トヨタアルバルク)がいた。一際大きな体にも関わらず、ゲームメイクしUNDERDOGを17-8と蹴散らし、優勝候補として一気にその期待は高まる。
しかし......。毎年のように良い意味で裏切られるHITHの醍醐味は番狂わせである。序盤にベストバウトとは早計だったと思い知らされる熱戦の火蓋が切って落とされた。

クジ引きではなく、代表英氏の独断と偏見によるマッチメイクでHITH2010・1回戦のカードが出揃った。優勝候補はディフェンディングチャンピオンISAMUがやや有利だが、西の雄ラスタも恐い存在であり、OGNは誰もが一目置いた存在となった。
1回戦、新勢力であるSTU-PIDが19-16で平塚を破り、ISAMUは28-9と盤石なるスタートを切る。新潟代表MARUDEは#5を中心に積極果敢な攻撃を見せるも勉族Jr.の前に21-17で惜敗。そしてラスタvsOGN。
SOMECITYでは5/3初黒星を喫するも連勝街道を突っ走る関西No.1チーム。ストリートvsエリートが相まみえた。大阪からはるばる上京してきたラスタのREDが得点を重ねる。OGNは外角シュートが入らず、ハイエナのようにリバウンドを拾うラスタ。8分間一本勝負の短い時間では、一度取り逃がした流れを再び手中に収めるのは非常に難しく、17-11でラスタが準決勝へ進んだ。敗れはしたが、ストリートに初参戦した未来の日本を背負うであろう小野選手とチームを率いる荻野選手にコメントをもらった。
「...全然違う!雰囲気もバスケも。僕もHIP-HOPは大好きなのですごく楽しかった。落合(WORM)やマニさん(MONEY)とこんな舞台でやるとは思ってなかったので緊張しました(笑)。ストリートは難しいですね。この経験を今後のJBLでも生かして行きたいです」。ぜひともJBLで暴れてもらい、来シーズンオフには再びストリートで戻って来てバスケを楽しんで欲しい。言わずとも小野選手もその気のようである。
荻野選手は「ALLDAYで敗れたUNDERDOGに勝ちたい一心で試合に臨んだので、正直なところ、1試合目に勝ってちょっと満足しちゃいましたね。OGNはストリートと競技バスケの融合を今後もしていきます」。
OGNは期待値が高まるとコロッと負ける。そんな印象がある。中央大OBを頭に浮かべる。さて来年は?笑

今年、"負ければ解散"という、女王ならではの決意を持って挑んだSLY☆RABBITS。対戦相手の予備知識は「HITHサイトのチーム紹介を読んだ」だけ。女王陥落をほくそ笑む相手は、Girl's HITHの予選を勝ち進んだTEAM instant。先に会場入りしたメンバーが相手の姿を見るやいなや「ヤバい、デカイ!若い!!」という情報をSLY☆RABBITSメンバー内にメールで伝達。しかし、コートに現れた女王たちの余裕は一体何だろう。2004年から平塚やこの5/5の舞台で勝ってきた余裕なのか、それとも年の功なのか...。
Queens BattleがTIP-OFFするや否や、8-2と一気に猛攻を仕掛けたTEAM instant。たたみ込むように、#73ナミがノールックパスを繰り出し点差を開く。7分間の前半終わって12-4、TEAM instantが大きくリード。
SLY☆RABBITSのベンチに目をやると、ようやく目覚めたように俄然ヤル気が漲っている。特にベンチが盛り上がっている。#4ショウの3Pが決まりはじめると、百戦錬磨の経験値を持つベテランSLY☆RABBITSが一気に追いつき、そして追い越す。いつもながらのスロースターターで図ったような逆転劇を演じる。#73ナミが同点を狙う3Pは外れ、23-20で今年もSLY☆RABBITSが勝った。
試合後、勝因を聞くと「ディフェンスが楽しかった。どんな試合でもディフェンスで当たるのがチームの長所なので」という。そして解散の真相をキャプテン兎に聞く。「だって、予選とか勝ち上がっていく体力ないじゃん。だから5/5の1試合に照準を合わせるだけにしたい」......何ともSLY☆RABBITSらしい脱力感。
7/7の七夕のように、5/5は年に一度SLY☆RABBITSに逢える日。いつもの競技バスケとは違い、自由に楽しくできるHITHを楽しみにしているし、みんなに逢えるのも楽しみにしているそうだ。
HITH本戦準決勝でSTU-PIDを27-19でISAMUが勝利し、ラスタに16-14で辛くも勝利した勉族Jr.がHITH2010の頂点を決める決勝に勝ち進んだ。
決勝のみ8分ハーフとなった序盤、まずは勉族Jr.が会場を盛り上げる。1on1を好物とする#17YASUOがドライブから得点し、#34岡ちゃんの3Pが止まらない。3本目を沈めると17-12、ISAMUに5点差をつけた。しかし、オフェンシブなディフェンスからチャンスを掴むと終了間際に#3WACKのドライブでついにISAMUが逆転に成功し、18-17で前半終了。
後半、さらにISAMUのディフェンスが激しくなる。勉族Jr.から20秒ショットクロックバイオレーションを取ったISAMUが波に乗った。#11YOSKが4本連続3Pを決め、ディフェンスではダブルチームでターンオーバーを誘うと、会場が沸く。残り1'15、#3WACKのドライブで45-25と20点差をつけた。勉族Jr.も#15ノブコフのインサイドなどで得点を重ねるも勢いに勝るISAMUが49-32で勝利し、HITH2連覇を成し遂げた。
ISAMUキャプテンのシンペーは「バスケは背の高さじゃない、ディフェンスをがんばれば勝てる」と語り、ネクストステップへ進むYOSKは「支え得てくれている三信交通さんに感謝してます。これからもどんどんバスケを盛り上げて行きましょう!」と感謝の念と観客を煽って、HITH2010の幕は閉じた。

女王SLY☆RABBITSも勝因に「ディフェンス」を挙げ、YOSKは試合後、「ストリートでディフェンスで盛り上がることってこれまで無かったよね」と興奮気味に話していた。これまでは1on1のオフェンスだけが目立つストリートだったが、ディフェンスもあっての1on1。やられたらやり返すだけではなく、やられないために体を張るバスケの楽しさがHITHから開眼したとも言える。また、YOSK自身もその楽しさを伝えていきたいそうだ。
2009年7月の新潟大会から始まった今シーズンのHITH。改めて英氏に総括を聞いた。「STU-PIDというニューフェイスも台頭してきたのが良かったです。HITHをストリートの登竜門として、もっともっと新しいチームや若いチームが出て来てストリートを荒らして欲しいです。チャンピンISAMUは間違いなかった。あとはFAR EAST BALLERSがやってのけた4連覇を塗り替えてくれることにも期待したいです。盤石は無いHITHですが、SLY☆RABBITSは"不落の女王"として盤石でしたね。6月に栃木を皮切りにHITHが再び始まります。新しい土地も開拓していくので、新しいチームにはどんどん出て来てもらってストリートの活性化を図ってもらいたいです」。
ギュウギュウに詰め込まれたHITHだけに、レポートもまとめきれず長くなってしまった...反省。優勝チームISAMUインタビューは後日、まとめてご紹介するとしよう。
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