今シーズンのエクスパンションチームは、なかなか好調な滑り出しを見せている。岩手ビッグブルズこそ、6戦目にしてようやく初勝利を挙げたが、これが普通。昨シーズンに新規参入した秋田、宮崎は開幕1ヶ月で2勝4敗、島根は辛うじて3勝3敗であり簡単には勝てない。
しかし今年は横浜ビー・コルセアーズは3勝(3敗)を挙げ、信州ブレイブウォリアーズは4勝2敗、千葉ジェッツは5勝1敗とすでに勝ち越している。チームができてまだ半年も経っていないにも関わらず、勝利を呼び込むだけの機能を果たしているのは素晴らしい。もしくはビギナーズラックか...。
開幕戦、昨シーズンチャンピオンの浜松・東三河フェニックスに2連勝し、華々しいデビューを飾った千葉ジェッツ。
bjリーグを経験した日本人選手たちは、どちらかと言えば縁の下の力持ち的な役割を果たしてきた。ドラフト1位で入団した石田 剛規選手に至っては、2009年にJBLトヨタ自動車アルバルクを引退し、1年間のブランクがある。ジョージ・リーチ選手以外の外国人もbjリーグでの経験はない。果たしてそんな寄せ集めチームにどんなバスケットができるのだろうか?
その不安を払拭したのがエリック・ガードーHCだ。カタール代表の指揮官として活躍。ナショナルチームこそ寄せ集めの最たるものであり、新チームには打って付けの人材だと言える。
10月29日(土)に千葉商科大学で行われた千葉ジェッツvs高松ファイブアローズ戦。
1Qの千葉ジェッツは素晴らしかった。オフェンス時、ショットクロックを半分も進めないうちにフィニッシュへとつなげる。また、ディフェンスも勝負どころでは試合経過に関係無く前線から激しく当たり、コートに立つ全員がハードワークをしていた。しかし、2Qに入ると別のチームになってしまう。ショットクロックが過ぎ去る中、無理なシュートはゴールに嫌われ、ディフェンスも簡単にやられてしまい2Qは8-16。1Qが25-11と良かっただけに、この変貌ぶりにガードーHCも「2Qはがっかりする内容だった」。それでも後半はしっかりと立て直し、71-56できっちり勝利を収めた。
1Qのようなプレイを見れば、これまでの戦績は納得できる。しかし、まだまだ未完成。チームキャプテンは佐藤 博紀選手と板倉 令奈選手の2人。佐藤選手はルーズボールを追いかけチームの士気を高めた。2Qの流れの悪い場面で仲間たちに声をかけていた板倉選手。カタール時代からガードーHCの元でプレイし、全幅の信頼を寄せるモリース・ハーグロー選手は20得点を挙げた。だが、局面に立たされた時に打開する選手が現れず、課題点に見えた。もちろんこれから経験を積めば、そんなことはすぐにクリアできるだろう。今後が楽しみなチーム──というのが、ファーストインプレッション。
ガードーHCはどのようなチームにしたいのだろうか?
記者会見時、ちょうどディフェンスに対しての質問があがった。
「ディフェンスは毎日の練習の中ですごく大事しています。フットワークやコミュニケーション能力、相手のオフェンスを想定しどう対応するかという練習を毎日行っています。オフェンスでは試合によって特徴が変わりますが、ディフェンスとリバウンドはチームとして毎試合変わらないパフォーマンスを発揮することができます。また、試合の日は必ずホワイトボードにディフェンスのカギとなることを書いています。前半で相手を30点以下に抑えること、試合を通じて15本以上のターンオーバーを誘うこと、そして相手のFG率を40%以内に抑えること。今日は初めてそれが全て出来ました」。
開幕から6試合でディフェンスのカギの達成度を調べてみた。クリアできた部分は赤字で表示している。
これまでの試合結果を見てもけっして無理な数字ではなく、なおかつクリアすることで勝利がついてくる明確な目標値は選手たちにとってもモチベーションにつながる。
ショットクロックが一桁になる前にどんどん攻め込むオフェンススタイルが目指す先は何だろう?
「選手全員には、積極的にアタックするスタイルのバスケットをするように言っています。このスタイルは、コーチをしていても楽しいですし、選手たちもプレイするのが楽しいでしょうし、何よりもファンの皆さんに良いバスケットを見せられれば良いと思っています」。
一見、フリーランスのようにどんどんアタックしているが、しっかりとノーマークができていた。もちろん、それは流れの良い1Q時に多く見られたことだが、オフェンスの動きは見ている方が次の動きを考えていたら置いて行かれるくらい早いタイミングでゴールを狙う。しかし、2Qの高松ファイブアローズのように、そのスピードにフィットされてしまえば抑えることもできる。
「まず一人一人がアタックする能力を身につけ、ディフェンスが得点する選手に集中し始めたら、はじめてチームメイトを使ったオープンでのチャンスがあります。まずは一人一人が積極的にアタックできるように、その土台作りを毎日行っています。しかし今は、一試合を通じて目指すバスケットが1Q分しかできていません。浜松との2戦目の3Qに30-9、今日も1Qで25-11と良かったのですが、これを続けられません。試合を通じてせめて2つのクォーターくらい良い展開を出しながら、最後までつなげられればもっと良いチームになっていくでしょう」。
試合後、ブースターに、そして記者会見でメディアに対しても、「14人の選手たちを信じているし、誰が出ても活躍をしてくれる」とガードーHCは胸を張る。その期待に応えるようにコートに立つ選手たちは力を発揮し、ベンチメンバーも立ち上がって声を出す。
勝っている時はどのチームも良く見えるものだ。
11月に入るとホーム&アウェイで現在首位に立つ秋田ノーザンハピネッツとの4連戦、仙台89ERSと経験ある強豪との対戦が待っている。各チームもしっかりスカウティングして臨むこれからが本当の戦いが始まる。ガードーHCの手腕、そして千葉ジェッツの真価が問われる。今後、積乱雲などの障害をどう乗り越えていくのか?そのフライトに注目だ。
一方──集客には苦戦している。松平 健さんを招いた豪華なホーム開幕戦。5000人近く集客できる船橋アリーナでの公式観客数は1,783人。学園祭の最中に行われた千葉商科大学でのゲームも2,500人を収容できる体育館だったが、両日約1,000人で終えた。
千葉の高校バスケは全国区の有名校が多く、年初に行われたオールジャパンには男子は千葉エクスドリームス、女子は順天堂大学が関東予選を勝ち抜き出場を果たした。来年正月に控えるオールジャパンには、bjリーグを代表して千葉ジェッツが参戦する。
バスケが盛んな千葉。熱心なバスケファンやプレイヤーとともに最高の旅を期待したい。
(text by Izumi)
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